冥冥なる人間

冥冥なる人間 ある重度障害者のエクリチュール 可山優零 著 川島書店

ISBN4-7610-0486-X C036 2400\

冥冥(めいめい)

1、暗いさま。

2、事情のはっきりしないさま。またはっきりせず、わかりにくいさま。

3、自然に心に感ずるさま。

車いすのヒーローでは、脊髄損傷という大過にもかからわず、まさにスーパーマンな作者の姿がそこにあります。

この本の作者はその対極にあります。脊髄損傷で手も足も文字通り動かない重度障害者が「障害が重度過ぎる」との理由でリハビリテーション施設に入れず、重度障害者施設に入ることを自ら選択しなければならなくなります。

しかし、作者は、「自分がどうあるべきか。」「何ができるのか。」を考え続けます。

その結論がこの本です。

巻末の経歴によると、

1992年11月30日、第1刷発行とともに、施設を出て、自立生活を始められます。

1994年2月20日、第2刷発行の前には、1週間フィリピンに行っておられます。

 

今は1999年。どんな生活を送られているのでしょうか。

 

作者はこだわりがあるようで、か〜なり、哲学的な?表現が多いです。(ワープロ打ちした人も大変だったと書いてる)ルビが振ってないので、サワグチには読みが分からない漢字が結構ありました。

クリストファー・リーブさんの方が自力で呼吸出来ない分、より重度な障害なんですが、最高の治療を受け、携帯型人工呼吸器を付け、呼吸で動く車いすに乗り、自分の意志で移動出来る。

片や、入院する病院が無く、入浴さえ満足に出来ず、歯医者に行くのも一苦労。同室の重度障害者と共に、口述筆記で一年半かかってこの本を完成させます。

技術の進歩で、現在では音声入力システムでワープロが打てるし、しゃべれなくても、舌の動きや、目の動きで入力するシステムもある時代です。脳波に反応するシステムすら開発中だそうですね。

失った能力を技術の進歩がカバーしてくれる、社会も障害者を受け容れる時代になってきています。(まだまだ不十分だけれども)

こんなに大変な状況の内容なんだけど、不思議とサワグチには暗さが感じられませんでした。

それは、作者の「生きる」意志がとても強く感じられたからなんだと思っています。

 

1999/05/18(Tue)作成

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